「研磨に使う紐を、エンドレス(輪っか)状に加工できますか?」管楽器の製造工程で使う、少し珍しいひものご相談をいただきました。

使い方を聞いてみると、手で持つタイプのベルトサンダー工具に輪っか状のひもを掛け、それを回転させながら製品に押し当てて磨くとのこと。ご希望は、太さφ5~10mm程度。長さは520mmの輪。素材は綿、ポリエステル、ナイロンなどを検討されていました。

最終的には製造工程で継続して使用するため、まとまった数量になる可能性があります。ただし、まずは少量で試してみたい。そこでサンプル製作からご相談が始まりました。

問題は「輪っかにできるか」ではなかった

今回のポイントは、単純にひもの両端をつないで輪にすればいい、ということではありませんでした。すでにお客様でも、ひもの端を溶着して輪にする方法を試されていました。ところが、うまくいかない。接合部分が大きくなってしまうのです。

そして、その状態でひもを回転させて研磨すると、接合部分が製品に当たり、傷をつけてしまう。磨いてきれいにするためのひもが、逆に製品を傷つけてしまっては意味がありません。必要だったのは、「輪になったひも」ではなく、「つなぎ目が研磨の邪魔をしない、輪になったひも」でした。

約5mmのナイロン江戸打紐でサンプル製作

そこで、太さ約5mmのナイロン製江戸打紐を使い、520mmの輪に加工したサンプルをご提案しました。写真をご確認いただいたところ、「かなりイメージに近い」とのこと。

ただ、写真だけでは判断できません。実際に機械へ取り付けて回転させたときにどうなるのか。接合部分が製品に傷をつけないか。研磨に使って、どの程度もつのか。そこで実際の製造現場でトライアルしていただくため、サンプルをお送りしました。トライアルがうまくいけば、最初は約300本、その後は月50本程度使用する可能性があるとのことでした。

同じひもでも、使い方が変われば重要な場所も変わる

普通に使うひもなら、多少のつなぎ目は問題にならないこともあります。でも、高速で回転させて製品を磨くとなれば話は別。わずかな接合部分のふくらみが、大きな問題になります。

素材。太さ。長さ。加工方法。そして、どんな場面で使うのか。ひもは用途によって、見るべきポイントが変わります。

今回のように、「こんな使い方をしたい」「自分たちで試したけれどうまくいかない」「まず少量で試したい」という段階からでもご相談いただけます。完成品に使うひもだけが、ひもの仕事ではありません。製品を作るために働くひももあります。なんでもひも相談室。管楽器を磨くための、520mmの小さな輪っかのお話でした。