自転車に乗っていると、メッセンジャーバッグが背中からずり落ちたり、身体の前に回ってきたりする。そのズレを防ぐために、「サスペンダークリップを使って、バッグとベルトを固定できませんか?」というご相談をいただきました。
考えられていたのは、バッグの底と胸の位置にあるベルトをサブベルトでつなぎ、その両端をクリップで留める方法です。さらに、自転車で使うことから、「反射材の入ったテープはありますか?」というご質問もありました。
一見すると、サスペンダークリップとテープを選べば完成しそうです。ところが、用途を聞くと、ひとつ大事な問題がありました。
サスペンダークリップはバッグを支えるための部品ではない
お問い合わせでは、複数種類のサスペンダークリップについて、「どんな違いがありますか?」「どれが使いやすいですか?」とご質問いただきました。それぞれ開閉方法などに違いがあり、テープを通す部分の幅によっても仕様が変わります。
ただし、今回もっと重要だったのは、どのクリップが一番使いやすいかではなく、そもそもバッグ用途に使っていいのかということでした。
「取り付けられる」と「安心して使える」は違う
商品開発では、形が合えば使えるように見える部品がたくさんあります。クリップで挟める。テープが通る。サイズも合っている。でも、物理的に取り付けられることと、その用途に適していることは別です。
特にバッグや荷物を保持する用途では、
- どれくらいの力がかかるのか
- 生地の厚みはどの程度か
- 動いたときに外れないか
- 外れた場合に危険がないか
- 繰り返し使用しても保持力が維持できるか
といった点も考える必要があります。今回も「サスペンダークリップだから使えない」ということではなく、想定外の用途なので、実際の使用条件を確認して判断する必要があるとお伝えしました。
自転車用途なので、反射材入りテープも検討
もう一つのご希望が、反射材入りのテープ。自転車で使用するバッグの補助ベルトであれば、夜間の視認性も考えたいところです。当時取り扱っていた反射材付きのテープをご案内しました。
このように、「クリップを探している」という相談でも、用途を聞いていくと、クリップだけでなく、テープの幅、素材、反射機能、取り付け方法まで検討することになります。
最後は2種類を少量購入
注意点をご説明したあと、お客様は25mm幅のクリップを2種類、それぞれ2個ずつ購入されました。最初から大量に発注するのではなく、まず少量で現物を確認する。新しい用途に部品を使う場合には、とても大切な進め方です。
サスペンダークリップやテープを探すとき、「25mmのクリップが欲しい」だけでも商品を探すことはできます。ただ、何を留めたいのか。どれくらいの重さがかかるのか。どんな生地を挟むのか。どんな環境で使うのか。まで分かると、選択肢は大きく変わります。
バッグ、アウトドア用品、スポーツ用品、ベルト、小物などの商品開発で、「こういうクリップを使いたいけれど、合うものが分からない」「テープとクリップを組み合わせて試作したい」「既製パーツを別の用途に使えないか」という段階でもご相談ください。部品名が分からなくても、「こういうものを作りたい」からで大丈夫です。なんでもひも相談室。今回は、メッセンジャーバッグのズレ防止ベルトに使うクリップと反射テープのご相談でした。