「20mm幅の難燃ゴムを、約550mmにカットして月11,000本。見積できますか?」車両部材の縫製加工をされているお客様から、そんなお問い合わせをいただきました。
用途は、新しく立ち上がる車両向けの部材。黒色の平ゴムを一定の長さにカットし、両端をヒートカット。その後、お客様側で面ファスナーを縫製する予定とのことでした。
数量も、月11,000本。かなり具体的な案件です。それでも、最初の回答は、
でした。
「20mmの難燃ゴム」だけでは、同じものにならない
幅は20mm。色は黒。難燃加工。長さも決まっている。一見すると、見積に必要な条件はそろっているように見えます。
しかし、車両向けに使われるゴムテープでは、それだけでは十分ではありません。確認する必要があるのは、
- どのような織り方か
- 使用しているゴム糸の種類
- ゴム糸の太さや本数
- 使用する糸の番手
- 伸び方
- 仕上がりの硬さ
- 厚みや風合い
- 難燃仕様
など。同じ20mm幅の黒いゴムでも、中身の設計が違えば別の商品になります。そのため、「現物見本があれば、一度確認させてください」とお願いしました。
急ぎの車両案件。まず5mのサンプルを
詳しい用途を伺うと、新型車両向けの追加案件で、立ち上がりが近いとのことでした。お客様側でも早急に縫製サンプルを作る必要があり、「同じようなゴムを5mほど送ってもらえないか」というご依頼に進みます。
そこで、車両向けに使用している難燃仕様のゴムから、確認用サンプルを手配しました。まずは実物を使って、
- 縫製できるか
- 仕上がりは合うか
- 硬さや伸び具合に問題がないか
を確認していただくためです。
月11,000本でも、まずは一本の見本から
今回の設定数量は月11,000本。年間で考えれば、かなりの数量になります。それでも、
仕様が少し違った状態で量産を始めれば、その差は11,000本分に広がります。だから、見本を見る。近い材料を確認する。縫製してみる。仕様を合わせる。そのうえで価格や量産条件を詰めていく。
数量が大きい案件ほど、この順番が重要になります。
ヒートカットも含めて「縫製前の部材」にする
今回必要だったのは、反物のゴムをそのまま納品する形ではありません。約550mm前後の所定寸法にカットし、端部をヒートカットした状態で使用する計画でした。その後、お客様側で別部材を縫製する。
つまり求められていたのは、「ゴムを買うこと」ではなく、次の縫製工程にそのまま投入できる部材にすることでした。
材料だけでなく、カットや端部処理まで含めて考えることで、後工程の作業内容も変わります。
自動車・産業資材向けのゴムは「現物から」のご相談も
自動車部品や産業資材では、「20mm幅のゴムが欲しい」だけでは仕様を特定できないことがあります。
- 既存品と同じようなものを作りたい
- 今使っている部材の調達先を探したい
- 難燃仕様が必要
- 指定寸法にカットして納入してほしい
- 量産数量が大きい
そんな場合は、現物サンプルがあれば、より具体的に検討できます。
今回のなんでもひも相談室は、月11,000本を予定した車両用の難燃ゴム。大きな量産案件も、始まりは一本の見本を確認するところからでした。