「結び目のない輪になった紐を、8cmごとに2色へ色分けして作れませんか?」小学生向けの学習教材を企画されているお客様から、そんなご相談をいただきました。
一般的なあやとり紐を作りたい、というお問い合わせではありません。目的は、算数の教材。紐を12等分し、2色を交互に配置することで、色の境目を目印として使いたいというアイデアでした。
ご希望は「8cmごとに色が変わる、結び目のない輪」
具体的な仕様は、
- 結び目のない輪状の紐
- 2色を交互に配置
- 1区間は約8cm
- 12分割
- 伸びにくい素材
- 色の境目が分かりやすい
- 太さは約4mm
- 当初予定は300本程度
というものでした。単純に2色の糸を撚り合わせるのではなく、
必要があります。
なぜ8cmごとに色を変えるのか?
この紐は、コルクボードとダルマピンを使って使用する計画でした。ボードにピンを立て、紐を引っ掛けて形を作る。その際、色の境目を図形の頂点の目印にするという考え方です。
90度。60度。30度。15度。三角形や四角形を作りながら、角度や図形を視覚的に学ぶ。つまり今回必要だったのは、単なる「色付きのあやとり紐」ではありません。色の境界そのものに役割がある紐でした。
結び目を作らず輪にするため、接着部分ができる
結び目のない輪にするためには、端同士をつなぐ加工が必要です。今回検討した方法では、接着部分ができます。そこで事前にお伝えしたのが、
- 接着部分には多少の硬さが出る
- 長さには2~3mm程度の誤差が出る可能性がある
という点です。今回のお客様は、数mm程度の長さ誤差については問題ないとのことでした。ただし、もう一つ重要な確認がありました。
「色の境目で、ちゃんと角が作れますか?」
お客様が最も気にされていたのは、接着部分をダルマピンに掛けて引っ張ったとき、図形の“角”として見えるかという点でした。
紐ですから、紙に定規で線を引いたような鋭い角にはなりません。さらに接着部分には硬さがあります。製造すること自体が可能でも、教材として見たときに「これでは角度を学ぶ道具として分かりにくい」となれば、目的を果たせません。ここが今回の相談で最も重要なポイントでした。
「作れる」と「教材として使える」は違う
商品開発では、「その仕様を製造できるか」だけを確認してしまいがちです。でも、本当に必要なのは、作ったものが目的を果たせるかです。
今回でいえば、2色の輪紐を作れることより、その色の境目を使って、子どもが角度や図形を理解できるかどうか。製造方法だけでは判断できない部分でした。
その後、お客様自身でも用途や仕様を検討された結果、今回の見積・製作については一旦見送ることになりました。
製作しなかった相談にも意味がある
今回は量産には進みませんでした。しかし、
- どんな使い方をするのか
- 色分けには何の意味があるのか
- 接着部分の硬さは問題にならないか
- 加工誤差はどこまで許容できるか
- 完成品が教材として機能するか
まで話を進めたことで、製作前に確認すべきポイントが明確になりました。作ってから「思っていた使い方ができなかった」となるよりも、試作前に用途上の問題を洗い出すことも大切です。
教材・知育玩具向けのオリジナル紐もご相談ください
算数教材。知育玩具。ワークショップ。学校教材。実験教材。ひもを単なる部材ではなく、色、長さ、位置、伸縮性などに意味を持たせて使いたいというご相談にも対応しています。
「こんな教材を考えているけれど、どんな紐なら作れそう?」という企画段階からでも構いません。できる・できないだけでなく、実際の使い方も聞きながら一緒に考えます。
今回のなんでもひも相談室は、2色12分割の輪紐を、算数の角度教材として使えないかというご相談でした。